尿の切れがわるい、残尿感があると感じたら|横浜市港北区の泌尿器科「すがわら泌尿器科・内科クリニック」が徹底解説 尿の切れがわるい、残尿感があると感じたら|横浜市港北区の泌尿器科「すがわら泌尿器科・内科クリニック」が徹底解説

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SYMPTOMS

残尿感

残尿感の主な症状と日常生活への影響

  • 夜間の尿意による睡眠障害
  • 排尿後もなんとなく残っている感じがある
  • 発熱も同時に起こしている
  • 排尿後に痛みと残尿感が同時にある
  • など

残尿感は、「なんとなくすっきりしない」といった軽い違和感から、下腹部の強い圧迫感や不快感、尿意切迫感、排尿時痛にまで及ぶことがあります。特に高齢者では、残尿感によって夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」や、排尿後の残尿による膀胱炎の再発リスクも高まります。

①日常生活での支障
・睡眠障害:夜中に何度も起きるため熟睡できず、日中の集中力が低下。
・外出の制限:外出先でトイレにすぐ行けない不安から外出自体を控えるようになる。
・仕事のパフォーマンス低下:頻繁な尿意や尿意切迫感により仕事に集中できなくなる。
・精神的ストレス:周囲の目を気にしたり、恥ずかしさや不安によって、ストレスが増える。


②性別・年齢による違い
・女性:感染症(膀胱炎)が原因のことが多く、比較的早期に改善するケースが多いです。
・男性:前立腺の関与が多く、進行性・慢性化しやすいため、治療に時間がかかることも。
・高齢者:排尿筋の収縮力の低下による残尿過多など。


③併発する症状にも注意
残尿感と同時に以下の症状が見られる場合は、重篤な疾患の兆候である可能性もあります。

・発熱(感染の可能性)→女性なら、急性膀胱炎から上部尿路への逆行性感染による急性腎盂腎炎を、男性なら急性細菌性前立腺炎を念頭におくべきである。
・尿に血が混じる(血尿)→浸潤性膀胱癌や膀胱上皮内癌などの鑑別診断を要する。
・尿がまったく出ない(尿閉)→前立腺肥大症の下部尿路閉塞(BOO)や中枢神経疾患(脳、脊髄)、糖尿病による末梢神経障害(糖尿病性神経因性膀胱)などの鑑別診断を要する。
・排尿終末時の激しい痛み→主には細菌感染による急性膀胱炎(女性)や急性細菌性前立腺炎(男性)であることが多いが、浸潤性膀胱癌や膀胱上皮内癌も類似した症状をきたすため、注意が必要である。

このような症状がある場合は、速やかに泌尿器科を受診することが大切です。

残尿感とは何か?

残尿感とは、排尿を終えた直後にも関わらず、「尿がまだ残っているように感じる」状態を指します。これは医療現場でも非常に多く見られる下部尿路症状の一つであり、患者本人の感覚に基づく主観的な訴えであるため、必ずしも実際に尿が膀胱内に残っている(=残尿がある)とは限りません。このため、医師は「残尿感」と「実際の残尿」とを区別して診断を進めます。

残尿感は、膀胱や尿道、前立腺、神経系、または心理的要因など、さまざまな部位や要因と関係しており、その背景にある原因を突き止めることが治療の第一歩です。

①実際に尿が残っている「残尿」とは?
医学的には、排尿後に50ml以上の尿が膀胱内に残っている場合を「残尿あり」と定義します。これは通常、超音波検査や膀胱鏡検査などで確認され、過活動膀胱診療ガイドラインよると100ml以上の場合は泌尿器科専門医への相談と記載されております。残尿がある状態が続くと、上部尿路(腎、尿管)への影響として水腎症や水尿管をきたし、そして腎盂内圧の上昇がみられると、腎機能障害や尿路感染のリスクを助長させてしまいます。また、膀胱そのものへの影響として、膀胱の過伸展が長く続く事による、収縮力の低下(低活動膀胱)や排尿筋の肉柱形成などにより、膀胱コンプライアンス(排尿筋の柔軟性)が損なわれてしまいます。


②感覚としての「残尿感」
一方、実際には尿が残っていないにもかかわらず、残っているように感じるケースもあります。これは膀胱の知覚過敏や神経の興奮、あるいは心因的ストレスなどが関係していることが多いです。ストレスや不安によって引き起こされる心因性のものや、細菌感染による炎症などが主な原因です。


③よくある誤解
「残尿感=膀胱炎」と思い込んでしまう方も少なくありませんが、それだけではありません。確かに膀胱炎では頻尿や排尿時痛とともに残尿感が現れることもありますが、前立腺疾患、神経疾患、ホルモン変化、解剖学的な変化など、多岐にわたる原因が存在します。
単なる市販薬やとりあえずの抗生剤の服用だけで終わらせず、一度医療機関を受診して適切な検査を受けることが勧められます。泌尿器科では尿検査のみで判断することなく、尿路エコーを用いて、悪性腫瘍(癌)や尿路結石、前立腺サイズの計測(前立腺肥大の有無)、他臓器との関連性(子宮筋腫の圧排や膀胱結腸瘻etc)など、器質的な要因についても精査します。さらに、尿流量測定や残用測定を用いて、下部尿路(膀胱、前立腺、尿道)の機能的な精査も同時に行います。

残尿感の主な原因

残尿感は単独の疾患ではなく、多くの医学的な背景や身体の状態が引き起こす複合的な症状です。この章では、その原因を医学的に4つの大分類に分けて詳しく解説します。

まず、男性に特有な原因として挙げられるのが「前立腺肥大症」です。これは加齢に伴って前立腺が肥大し、尿道を圧迫することで、尿の通り道が狭くなり、膀胱に残尿が生じるというものです。特に50代以降の男性に多くみられ、排尿後の不快感、尿の勢いが弱くなる、夜間に頻繁にトイレに行くなど、さまざまな排尿トラブルを引き起こします。前立腺肥大が進行すると、膀胱の収縮機能が低下し、残尿感だけでなく、実際に残尿が増える「残尿過多」に至ることもあります。

一方、男女問わず起こる原因として代表的なのが下部尿路の細菌感染です。具体的には女性ならば急性膀胱炎、男性ならば急性細菌性前立腺炎です。特に女性は解剖学的に尿道が短く、肛門や膣に近いため細菌が膀胱内に侵入しやすい傾向にあります。急性膀胱炎や急性細菌性前立腺炎は、排尿終末時の痛みや頻尿が主症状ですが、細菌感染によって引き起こされた膀胱粘膜や、前立腺の炎症が残尿感を引き起こすため、早期に抗菌薬による治療が必要です。また、両者の一番の違いは、急性膀胱炎では発熱しないのに対し、急性細菌性前立腺炎は38℃以上の高熱をきたすことが多い事です。前述しましたが、急性膀胱炎を放置しておくと、上部尿路への逆行性感染による急性腎盂腎炎を発症し、左右どちらかの背部痛と38℃以上の発熱をきたしてしまいます。

さらに、神経の異常によって膀胱の働きが乱れる「神経因性膀胱」も重要な原因の一つです。これは脳梗塞、パーキンソン病、多発性硬化症、脊髄損傷、または糖尿病による末梢神経障害などが背景にある場合に発生します。この状態になると、膀胱が自発的に収縮せず、尿がうまく排出されなくなるため、常に残尿が存在し、排尿後にも不快な感覚が残ることになります。神経因性膀胱は進行すると、自力での排尿が困難となるため、自己導尿やバルーンカテーテル留置が必要となるケースもあるため、専門的な管理が必要です。

最後に、見逃されがちな要因として「ストレスや心理的要因」があります。精神的な緊張や不安が交感神経を過度に刺激し、膀胱の収縮と弛緩のバランスが崩れてしまうことで、排尿後も「何か残っているような感覚」が消えないケースがあります。これはいわゆる「心因性の残尿感」と呼ばれ、実際には残尿がないことが多いため、泌尿器科だけでなく心療内科の診療が並行して必要になることもあります。特にストレス社会に生きる現代では、若年層や女性にこのタイプの訴えが増えてきています。

このように、残尿感の背後には泌尿器疾患だけでなく、生活習慣病、脳・脊髄疾患、さらには精神的要素までが関与するため、正確な診断と包括的なアプローチが求められます。

泌尿器科での診断方法

残尿感がある場合、まず重要なのは正確な原因を特定することです。泌尿器科では、複数の検査を組み合わせて、膀胱や尿道、前立腺、神経の状態などを詳細に評価します。
①主な診断法一覧とその目的
図を参照

②問診も非常に重要
医師は、残尿感の頻度や発症時期、症状の変化、生活習慣、薬の服用歴、ストレスの有無などについて詳細にヒアリングします。これにより、機能的なものか、または器質的なものかを判断する手がかりになります。

残尿感の治療法

治療は原因に応じて異なりますが、以下の3つが柱になります。

①薬物療法
・抗菌薬:感染性の場合にはまず抗生物質を使用。
・α遮断薬:前立腺肥大により尿道が狭くなっている場合、尿道の筋肉を緩めて排尿しやすくします。

②外科的治療
前立腺が極端に大きい場合は経尿道的前立腺切除術(TURP)他、HoLEP、アクアブレーション、PVP、PUL、WAVEなどの手術が検討されます。

③非薬物療法
・食生活の見直し:アルコール摂取や香辛料、薬味(ニンニク、ショウガ、ワサビ、ネギ、タマネギetc)などの刺激物を控えるなど。




■男性に多い残尿感の特徴
男性において残尿感を引き起こす最も一般的な要因は、やはり前立腺のトラブルです。前立腺は膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在しています。この前立腺が加齢に伴って大きくなると、尿道を圧迫して尿の流れを妨げ、完全な排尿ができなくなるのです。こうして膀胱に尿が残ることで、排尿後も「まだ残っている」という感覚が強くなるのが特徴です。

また、慢性前立腺炎も見逃せません。これは、細菌感染または非細菌性の炎症によって前立腺が腫れ、長期間にわたって不快感や残尿感を引き起こす疾患です。症状としては、下腹部や会陰部の鈍痛、排尿後の違和感、精液の異常などが見られることもあります。このような炎症が長引くと、排尿時のトラブルだけでなく、性機能にも悪影響を及ぼすことがあります。




■家庭でできるセルフケアと予防法
水分をこまめに摂取:尿が濃くなると膀胱を刺激するため、薄い尿を維持するのが理想。

・排尿習慣の改善:尿意を我慢しすぎず、規則正しくトイレへ行くこと。
・陰部の清潔を保つ:特に女性は感染症を防ぐための衛生が重要。


■残尿感が気になる方は当院へ
当院は残尿感にお悩みの方に対して診察・検査・治療に丁寧に対応しております。患者さん一人一人のライフスタイルに合わせた治療法や予防策の提案をさせていただきます。気になる症状・不安な違和感があればまずは当院で一度検査をしてみることをおススメいたします!

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文責
横浜市港北区綱島
すがわら泌尿器科・内科クリニック
院長:菅原 草