膀胱炎について【すがわら泌尿器科・内科クリニック】 膀胱炎について【すがわら泌尿器科・内科クリニック】

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DISEASE

膀胱炎

症状

  • おしっこをするときに痛みがある(排尿時痛)
  • おしっこをしても、まだ残ってしまっている感覚がある(残尿感)
  • トイレに行く開始数が多くなっている(頻尿)
  • 尿が濁っている感じがする
  • 高熱が出ている×(膀胱炎では発熱しません)
  • など

このような症状の方は、膀胱に炎症が起きている可能性があります。高熱や腰痛まで引き起こされている方は、場合によっては炎症が腎臓にまで拡大してしまって、腎盂腎炎を誘発している可能性があります。似たような症状を引き起こす疾患として過活動膀胱や、前立腺肥大症(男性のみ)も考えられますが、上記に一つでも当てはまる場合は、すぐに泌尿器科専門の医師に相談することをお勧めいたします。
放置をすることで、命に関わる敗血症と呼ばれる状態にもなりかねません。

またよくある誤解として、膀胱炎のために発熱しているのではというお声をいただきますが、膀胱炎では熱は出ません。腎臓まで細菌が逆行性感染を起こして始めて急性腎盂腎炎となり、発熱します。

膀胱炎とは

膀胱とは、尿を溜めるための筋肉と粘膜でできた袋状の臓器です。この膀胱内部で炎症が発生している状態を膀胱炎と呼びます。基本的には、尿道から、細菌がさかのぼって膀胱内部に侵入することで発症します。(逆行性感染)

特に膀胱炎が女性に多いと言われている理由は、
①尿道と肛門の距離が近く糞便交じりの腸内細菌が入り込みやすいため
②尿道(膀胱までの管)が短かくかつ直線的であるため、膀胱に細菌が到達しやすいため
この二点が挙げられています。(参照:尿路感染症ガイドライン2015

膀胱炎の原因

膀胱炎が発症する原因は、その実態で分類しておおよそ5種類程存在します。
<間質性膀胱炎>
膀胱の粘膜の内側に何らかの原因で炎症が起きてしまい、筋肉が萎縮、小さくなってしまう病気です。萎縮すると、柔軟性が落ち膀胱が膨らまなくなってしまうため、通常の半分以下の尿量で尿意をもよおすことになります。痛みと共に頻尿に悩まされるのが特徴です。

<単純性膀胱炎>
器質的・形態的に尿路におかしな点が無い、尿路に異物(カテーテルや結石etc)が無い場合の主となる膀胱炎です。腸内細菌や、皮膚の常在菌による逆行性感染が原因です。尿意を無理に我慢したり冷えてしまったり、疲労・過労・睡眠障害等による免疫力の低下、女性だと月経・妊娠・性交渉等が原因となって起こることがあります。

<複雑性膀胱炎>
尿路に異物(カテーテル、結石etc)が存在していたり、身体の抵抗力・免疫の低下等の基礎疾患を有する際に起こる慢性型の膀胱炎です。これらの基礎疾患に対処をしなければ、複雑性膀胱炎は治癒しないと考えられています。また高い頻度で複数の細菌への感染が確認されます。

<嚢胞性膀胱炎>
膀胱粘膜に、袋状のできものの病変が確認されます。膀胱鏡での観察が必要です。

<真菌性膀胱炎>
真菌(カビ)が感染してしまうことで、膀胱に炎症が発生します。


上記のような種類が存在しますが、どれも腎盂腎炎など重い疾患に繋がることは変わりありません。それぞれ原因が違うため、適した治療法を選択する必要性があります。

膀胱炎の検査

<尿検査・尿培養検査>
膀胱炎の場合、尿中に一定数以上の白血球や細菌が見つかります。さらに尿培養検査をすることで菌の種類の特定まで行います。

<超音波検査・X線検査>
膀胱の痛みは尿路結石(尿路結石はこちらをクリック)、膀胱がんの可能性も存在します。その可能性も排除するために下腹部を撮影し、結石や腫瘍性病変が存在していないかどうか、尿路の形態を調べます。横に寝ていただくだけで簡単に実施が可能です。特に超音波検査は、膀胱炎に類似した症状をきたす疾患を除外する目的で行われる重要な検査です。

膀胱炎の治療方法

抗菌薬を服用していただきます。大体3日前後で症状は緩和してきます。水分摂取量が少ないために尿が十分に溜まり切らず、長い間膀胱に尿が溜まっている状態も菌を繁殖させてしまう要因となります。服用と共に、多めの水分摂取に注力してもらうことが重要です。

そして、完治した状態になったことを確認するために再度尿検査を受けに来ていただきます。膀胱炎は繰り返しやすいことと、耐性菌と呼ばれる薬に耐性を持ったものも存在しています。きちんと膀胱炎の発症メカニズムを理解したうえで、正しい薬を服用しないと、一次的に症状が緩和したとしてもぶり返してしまい、次の策として服用する薬が効きにくいという可能性もあります。

また、自覚症状がないにもかかわらず、健康診断や他科で調べた際に尿中に白血球が存在するからと根拠なく抗生剤を処方されて、服薬してしまうケースも散見されます。自覚症状のない尿中白血球はcontamination(コンタミネーション)といって、女性の外陰部(陰唇)に付着している常在菌が採尿の際に交じって混入する場合があり、これは膀胱炎ではなく、抗生剤の服用意義がない状態です。たかが膀胱炎、されど膀胱炎。膀胱炎の診断は実はそんなに単純なものではないので、甘く見ないで専門の泌尿器科医師に受診をしていただくことを推奨いたします。


■膀胱炎にならないための予防策
膀胱炎は、前述したように再発がしやすい特徴があります。とにかくまずは膀胱炎にかからないことが大切です。具体的には
・トイレを可能な限り我慢しない
・身体の抵抗力や免疫力を落とさない
・陰部を清潔にしておく
・性行為をした後排尿を行う
・過労や冷えに気を付ける
・水分量を普段から多く摂る

膀胱に長い間尿が溜まっていることは菌の繁殖を促します。過度なダイエットや偏食は、免疫力を落とすことに繋がります。女性の場合は生理用ナプキンやおりものシートを3時間程度で交換するなどして、清潔さを保ちましょう。

また、性行為は、男女ともに細菌が侵入しやすいタイミングです。入ったとしても、すぐに排尿をしたり、シャワーで洗い流す等をするだけでも、膀胱炎予防に繋がります。日々の細かな所作によって、十分に予防ができる疾患ですので、そもそもかからないことから対策を施していくべきです。



■膀胱炎でお悩みの方は当院へご来院ください
当院は膀胱炎の診察・治療も丁寧に対応しております。膀胱炎は、現代はポピュラーな病気になってきたため軽視されがちな疾患ですが、(男性は場合によっては、前立腺肥大症や膀胱がんといった重篤な疾患が隠れている可能性が否定できません。)最近では女性の方で、一度治ったのにもかかわらず、繰り返し発症してしまうというご相談も多く寄せられるようになってきた印象です。膀胱炎以外の器質的な疾患が隠れているかもしれません。一度泌尿器科専門医師の診察を受けましょう。


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文責
すがわら泌尿器科・内科クリニック
院長:菅原 草


2022年4月10日最新更新