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DISEASE

前立腺癌

こんな症状はありませんか?~前立腺癌の自覚症状~

  • おしっこが困難(力まないと出ない)
  • おしっこをする時に痛みが走る
  • おしっこや精液に血が混ざっている色をしている
  • など

上記症状は前立腺癌の初期では出現することはほぼ無く、進行してきてからの症状になります。通常は前立腺肥大症
や、血精液症の症状で、これらは良性疾患です。

前立腺がんは、1年間で男性10万人中149人は発症しているという調査結果がでています。また、年齢ごとにみると、40歳代だと約2人、50歳代では約47人、60歳代だと約275人、70歳代だと約583人、80歳以上になると約161人に1人、619人ほどの相当な数になります。
(出典:2018年 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」)
また、がん罹患数の順位では2019年は男性では1位が前立腺がん、2位が大腸がん、3位が胃がん、4位が肺がん、5位が肝臓がんと続いており、男性のがん種の中では1番多い疾患となっており、男性にとっては最も身近ながん種ともいえます。
半面、5年相対生存率(がんと診断されて、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標)は2009年から2011年では99.1%と高く、前立腺癌治療は有効性が高く、予後が良いがん種ともいえます。そのため、罹患数が1位であるのにも関わらず、部位別がん死亡数は多い順から肺がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肝臓がんに次いで前立腺癌と続きます。(国立がん研究センターがん情報サービス:最新がん統計)
近年では、後述するような検査が発達してきているため、早期発見自体は難しくない状態になってきていますので、適切に検査をすれば大事に至る前に対処することが可能です。

また、似たような症状の病気で、「前立腺肥大症」がよく挙げられます。前立腺肥大症は、大多数が尿道周り(内腺:移行領域)で発生するために、排尿に影響がでます。尿道が大きくなった前立腺に圧排されて排尿しづらくなるなどは、最も顕著な例です。しかし、前立腺癌は、尿道から物理的な距離が離れた場所(外腺:辺縁領域)で発生するため、症状が実感できるのは遅くなるのです。

前立腺癌の発症原因

前立腺癌は、多くは男性ホルモン(精巣由来のテストステロンや副腎由来のアンドロゲン)が原因です。その他の因子としては、年齢・人種・食事の傾向・家族歴などが考えられています。50歳以上の罹患率は急激に高まる傾向が強いため、注意が必要です。

また、食生活が欧米化している点も前立腺癌の増加に関係があるとも推測されています。脂肪の多い食事・緑黄色野菜の不足などが原因として指摘されています。元々欧米諸国での罹患率が高い事も、その背景として有力です。

前立腺癌の検査・診断方法

~癌の可能性を探るための検査(スクリーニング検査)~
・PSA検査
採血をすることでPSAと呼ばれる値を測定する検査です。(PSAが高い詳細はこちら)PSAとは、前立腺特異抗原という糖タンパクから成る酵素です。この値が高いと癌の可能性を疑うことになります。とはいえ、「可能性」があるということが分かるだけで、「確定」はできません。前立腺肥大症や前立腺炎、カテーテルや内視鏡操作などの機械的刺激や射精後などでも、PSAは高く出てしまいますので、注意が必要です。
PSA値の正常値のカットオフ値は4.0ng/ml未満ですが、4以上10ng/ml未満のいわゆるグレイゾーンでは前立腺癌の確率は約30%程度といわれており、異常値だからといっても、上記の理由から即前立腺癌ではないことも留意しておくポイントです。(残り70%は癌ではない)それでもやはりPSA値が高値であればあるほど、前立腺癌の確率は上昇していくのも事実で、PSA10ng/ml以上では約50%、PSA20以上では約80%に前立腺癌が検出されるという報告もあります。PSAの上昇に伴い、前立腺癌の悪性度も高くなり、遠隔転移をきたしている可能性も高くなる傾向にあります。

・直腸内触診(DRE:digital rectal examination)
肛門に指を挿入し、前立腺を直腸の粘膜越しに外側から触診する検査方法です。前立腺がんが進行すると、前立腺の病変箇所が石のように硬くなります(石様硬)。この変化は泌尿器科専門医であれば、触る事で高確率で癌を特定することが可能です。ただし、あくまで前立腺の被膜を超えるほどの局所浸潤がんや精嚢浸潤するほどの進行がんでないと触知できず、限局がん(前立腺被膜内に留まる)は触診ではほとんど分かりません。

・画像検査(当院では経腹超音波をおこなっております)
経直腸的超音波検査・前立腺MRI検査・CT、骨シンチグラフィーなどの検査を指します。PSA検査や直腸内触診に加えてさらにMRIや経直腸的前立腺超音波検査は主に前立腺生検時(もしくは生検前)に前立腺癌の局在部位を判断するために、実施します。生検ありきで診断はなく、MRIでまず病巣部位の把握と、PI-RADS分類という5段階のスコア化をすることで、より画像診断で客観的に前立腺癌の可能性が高いのか、低いのかを判断して、不必要な生検を減らす工夫もなされています。生検結果で前立腺癌と診断がついた場合には、staging(病期)の把握目的にCT検査で他臓器やリンパ節転移などの遠隔転移を検索したり、前立腺癌の特徴である、骨転移の評価として骨シンチグラフィーが用いられます。


~癌を確定するための検査~
・超音波下前立腺生検(当院では実施しておりません。):経直腸的、経会陰式の2通りあります。近年では、出血のリスクや感染のリスクを回避するために経会陰式にシフトされている傾向にあります。(最近では、ほとんどが数日の入院で行っています)
前立腺に生検針(バイオプティーガン)を用いて、前立腺組織の一部を採取する方法です。(一般的に前立腺両葉からそれぞれ5-6本ずつ、計10-12本)
採取した組織は病理専門医によってGleason score(グリソンスコア)化し、がんの悪性度を評価します。このスコアは、予後に関与するものであるため、治療方針を決定する上でとても重要になります。

前立腺癌の治療方法

前立腺がんの治療は、三つの方法があります。癌の進行状況や患者さんの体力コンディションなどの情報から、最適な治療手段を選んだ結果医師から提案されることになります。

① 外科的手術療法 
前立腺癌の病巣のみを部分切除するのではなく、前立腺を被膜ごと丸々摘出します。その際精嚢腺も一緒に摘除します。前立腺は前立腺部尿道と言って尿道の一部を形成しているので、摘出しただけでは尿道が分断されたままであるため、尿道と膀胱頸部を吻合する尿路再建が必要になります。尿禁制とがんの根治性というジレンマを両立させなければならず、前立腺尖部の処理は術者にとって前立腺全摘術の中で最もセンシティブになる部分です。
② 放射線療法
放射線を照射することで、癌の死滅を目指した治療方法です。ホルモン療法と併用されるケースが多く、再発や転移に対しても非常に有効な治療方法です。身体の外から放射線を当てる外部照射療法、身体の内側から放射線を当てる組織内照射療法(小線源療法)の二つがあります。
骨転移巣へ照射することで、疼痛緩和に用いられることもあります。
③ 薬物療法―ホルモン療法
手術・放射線療法は癌の根治が狙いですが、ホルモン療法は少し目的が違い、「癌細胞が増えることを抑制する」という治療方法になります。高齢者で手術する体力がない、合併症が多く手術療法にリスクを伴う、進行がんで遠隔転移があり、局所治療である手術や放射線照射が適応外である場合に行われます。ホルモン療法は男性ホルモンを抑制する治療であり、癌細胞を直接死滅させることはできないため、定期的な注射が必要になります。基本終わりはなく、永続的に投与されます。

※前立腺癌は冒頭に述べられているように、5年相対生存率が99.1%と他のがん種に比べて驚異的な予後の良さを打ち出しているため、一部ではなかなか死なないガンとして、あまり恐れられていないような意見も拝聴することがあります。しかし、前立腺癌に罹患しても、長く生きられるという解釈は、前向きにとらえられればそれはそれで良い面もありますが、反面、遠隔転移をきたしても生命予後が良いということは、それだけ闘病生活も長きに渡ってしまうというマイナスな見方もできてしまいます。(骨転移によるがん性疼痛や、下半身不随を来たした後の要介護生活など)よって、PSA高値を指摘された場合には、早めに泌尿器科専門医への受診をしていただき、前立腺癌だとしても大丈夫でしょう?ではなく、他のがん種と同様に迅速に精査を進めていただき、早期発見、早期治療の原則は守っていただきたいと思います。


■当院へのご受診を検討されている方へ

当院は前立腺癌の診察・検査・治療を丁寧に対応しております。患者さん一人一人のライフスタイルに合わせた治療法や予防策の提案をさせていただきます。必要であれば、すぐに適切な病院へご紹介ができるように、検査・治療にベストを尽くしております。気になる症状・不安や違和感があればまずは当院で一度検査をしてみることをおススメいたします!

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文責
横浜市港北区綱島
すがわら泌尿器科・内科クリニック
院長:菅原 草