排尿時痛
泌尿器科の病気と排尿時痛の関係
- 膀胱炎
- 尿道炎
- 前立腺炎
- など
排尿時痛を引き起こす泌尿器系の疾患にはさまざまなものがあります。最も一般的なものとして、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎、尿路結石などが挙げられます。これらの疾患は、それぞれ異なるメカニズムで排尿時の痛みを引き起こします。
膀胱炎は、特に女性に多い疾患であり、大腸菌などの細菌が尿道を通じて膀胱に侵入し、炎症を引き起こすことで発症します。頻尿や残尿感、排尿時の灼熱感が特徴的な症状です。
尿道炎は、主に性感染症によって引き起こされることが多く、クラミジアや淋菌、マイコププラズマやウレアプラズマが原因となります。男性に多くみられ、排尿初期の痛みや尿道からの分泌物が特徴的な症状です。
前立腺炎は、男性特有の疾患で、デスクワークや自転車のサドルなどの長時間の会陰部の圧排による血流障害や、細菌感染やストレス、生活習慣の乱れが原因で発症することがあります。急性前立腺炎では高熱を伴ったり、尿閉となることもあり、速やかに診断して早急に抗生剤投与による治療が必要です。
尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱にできる結石の事で、特に下部尿管で膀胱近傍に結石が下降し、膀胱を刺激して終末時の排尿の痛みを引き起こします。
排尿時痛とは?
排尿時痛とは、尿を排出する際に痛みや不快感を感じる症状のことを指します。男性・女性を問わず経験する可能性がありますが、特に女性に多く見られる症状です。排尿時の痛みは軽い違和感から強い灼熱感、鋭い痛みまでさまざまな形で現れます。痛みが一時的なものであれば、単なる刺激や軽い炎症が原因であることもありますが、慢性的に続く場合や、他の症状(頻尿、残尿感、血尿、発熱など)を伴う場合は、何らかの疾患が関与している可能性があります。
排尿時痛は、泌尿器系の感染症や炎症が原因であることが多く、膀胱炎や尿道炎、前立腺炎などが代表的な病気です。また、尿路結石や性感染症(STI)、膀胱がんなども排尿時痛を引き起こすことがあります。排尿時の痛みが長引く場合や、日常生活に支障をきたすほどの痛みがある場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
排尿時痛の主な原因
排尿時痛の原因は多岐にわたりますが、大きく分けると細菌感染によるもの、炎症によるもの、尿路結石などの物理的な刺激によるもの、腫瘍などの重大な疾患によるものがあります。
細菌感染が原因となる場合は、最も一般的なものが膀胱炎や尿道炎、そして前立腺炎です。女性は尿道が短く、細菌が膀胱に侵入しやすいため、膀胱炎を起こしやすい傾向にあります。男性では尿道炎や前立腺炎が原因となることが多く、尿道炎の場合は特にクラミジアや淋菌、マイコプラズマやウレアプラズマといった性感染症が関与する事がほとんどで、前立腺炎の場合には大腸菌を始めとする腸内細菌に代表される一般細菌がほとんどで、性交渉後にというエピソードがある場合には性感染症も視野に入れてPCR法を用いたSTI(性行為感染症) checkを考慮すべきです。
非細菌性の炎症が原因となる場合、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎などが考えられます。これらの疾患では、尿中に細菌が検出されないため、診断が難しいケースもあります。尿路結石が原因の場合は、左右どちらかの尿管結石が膀胱近傍の下部尿管まで下降してきた場合に膀胱刺激症状として現れるもので、終末時排尿痛や残尿感以外にも、腰背部や下腹部に強い痛みを感じることが特徴的です。
その他の原因として、膀胱がんや尿道がんなどの腫瘍が関係している場合もあります。この場合には排尿時の痛みに加えて血尿がみられることがあります。早期の表在性膀胱癌の場合には無症候性の肉眼的血尿が主ですが、凹凸不整のない、粘膜の下を這うような膀胱上皮内癌や、筋層まで浸潤する局所浸潤性膀胱癌の場合には排尿時の痛みを伴うケースがあります。泌尿器科では膀胱炎症状で来院された女性の場合、膀胱炎と決めつけずに、常に膀胱癌のような悪性疾患が背景に無いかを念頭に置いて精査し、悪性疾患を除外した上で急性膀胱炎と診断します。他科受診すると、女性+排尿時痛=急性膀胱炎という方程式で決めつけられ、何度も抗生剤を処方されては繰り返す反復性膀胱炎を発症し、挙句の果てに多剤耐性菌を獲得し、難治性膀胱炎となってやっと泌尿器科を受診されるケースが散見されます。その中で、一部に膀胱上皮内癌や局所浸潤性膀胱癌が見つかる場合があり、注意が必要です。
様々な排尿時痛
■膀胱炎による排尿時痛
膀胱炎は排尿時痛の最も一般的な原因の一つであり、特に女性に多く発症します。膀胱炎の主な原因は、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に侵入し、感染を引き起こすことです。女性の尿道は男性に比べて短く、肛門や膣と近いため、細菌が膀胱に入りやすい環境にあります。
膀胱炎の症状には、排尿時の痛み、頻尿、残尿感、尿の濁り、血尿などが挙げられます。特に排尿の終わり際に強い痛みを感じることが特徴的です。軽症であれば自然に治ることもありますが、多くの場合、抗生物質を用いた治療が必要になります。治療を怠ると感染が尿管を伝って逆行性感染を起こして腎盂に達し、腎盂腎炎を引き起こす可能性があるため、早期の診断と適切な治療が重要です。
また、再発しやすい病気でもあるため、予防策も重要になります。水分を十分に摂取し、膀胱内の細菌を排出しやすくすることが推奨されます。また、排尿を我慢せず、トイレに行きたくなったらすぐに排尿することも膀胱炎の予防につながります。
性交後の膀胱炎も比較的多くみられます。性交により物理的に外性器(陰唇や膣入口部)に付着している細菌が経尿道的に膀胱に侵入しやすくなるため、予防として性交渉後すぐに排尿することが推奨されています。また、性交渉前にもしっかりと排尿して膀胱内に尿を溜めておかない事もポイントです。尿は本来無菌ですが、細菌にとっては培地になります。よって、性交渉前に膀胱内を空っぽにしておくことは細菌の繁殖する培地を提供しないことになるため、膀胱炎の予防策になります。また、性交渉はとても体力を消耗するため、免疫力が下がります。これも細菌の侵入を容易にする感染源となります。疲労がたまった状態での性交渉は避けた方がよろしいでしょう。
膀胱炎を繰り返す場合や、治療しても改善しない場合は、間質性膀胱炎や膀胱がんといった他の疾患の可能性も考慮する必要があります。尿検査のみならず尿路エコー、尿細胞診や膀胱鏡検査など、抗生剤をただただ乱用して時間を稼ぐのではなく、たかが膀胱炎されど膀胱炎。膀胱炎症状=膀胱炎ではなく、常に膀胱炎症状を引き起こす背景の中に悪性疾患が潜んでいないか、他の器質的疾患が無いのか、鑑別診断を一つずつ消去した上で最終的に細菌感染である急性膀胱炎と診断し、適切な抗生剤を処方する慎重さが問われます。
■尿道炎と排尿時痛
尿道炎は、尿道に炎症が起こることで発症し、特に男性に多い疾患です。主な原因としては、性行為感染症(STI)や腸内細菌に代表される一般細菌感染が挙げられます。尿道炎の典型的な症状には、排尿時の強い痛みや尿道の灼熱感、むず痒さ、膿のような分泌物の排出などがあり、放置すると炎症が進行し、症状が悪化することがあります。
性行為感染症による尿道炎の代表的なものには、クラミジア感染症と淋病があります。クラミジア感染症は日本でも非常に多い性感染症の一つであり、自覚症状が少ないため気づかずに放置してしまうこともあります。しかし、放置すると精巣上体炎や急性前立腺炎、精管閉塞による不妊症の原因になるため、早期の治療が必要です。淋病は、尿道からの膿が特徴的な症状であり、排尿時の痛みが強い傾向があります。いずれも抗生物質による治療が基本となり、適切な薬を使用すれば短期間で治癒することが可能です。最近は、CSW(コマーシャルセックスワーカー)やSNSやマッチングアプリで知り合った方々との性交渉で流行っているのがマイコプラズマやウレアプラズマです。これらもクラミジア同様自覚症状に乏しく、大切なパートナーに移してしまうケースも実臨床の現場では散見されます。
非性行為感染性の尿道炎も存在し、これは刺激性の化学物質や過度な摩擦が原因となることがあります。例えば、過剰な石鹸の使用や消毒液の影響で尿道が刺激されるケースや、長時間の自転車の運転などが要因となる場合があります。この場合は、刺激を避けることで症状が改善することが多いです。
尿道炎の予防には、コンドームの使用が有効であり、特に性行為感染症を防ぐためには重要であると言われております。また、性交後の排尿によって尿道内の細菌を排出することも予防策として推奨されています。しかし、コンドームを付けただけでは感染は防ぐことができません。コンドームを付けたのに何で感染するんですか?という質問をよく患者さんからされます。みなさんコンドームを付けるタイミングはペニスを膣内にインサートする直前ですよね?感染するタイミングはもっと早く、前戯の段階です。つまり、本番行為だけでしか感染しないと勘違いされている方々がほとんどであるという事です。オーラルセックスですでに感染は成立しているので、コンドームを付けても時すでに遅しです。感染している相手と性交渉する時点で、コンドームを付けても付けなくても、感染のリスクはほぼ変わらないといっていいでしょう。コンドームを過信しすぎない事です。要は性交渉する相手次第であるという事です。
■前立腺炎と排尿時痛
前立腺炎は、男性にのみ発症する疾患であり、前立腺が炎症を起こすことで排尿時痛を引き起こします。急性前立腺炎と慢性前立腺炎の2種類があり、それぞれ異なる症状を示します。
急性前立腺炎は、細菌感染が原因となることが多く、排尿時の激しい痛みに加えて残尿感、発熱や悪寒などの全身症状を伴うことがあります。尿の出が悪くなることもあり、重症化すると尿閉(尿が出なくなる状態)に陥ることもあるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。治療には抗生物質が用いられ、適切な治療を受ければ数日で改善します。
一方、慢性前立腺炎は長期間にわたって続く炎症であり、原因がはっきりしないことも多い疾患です。症状としては、排尿時の痛みや違和感、会陰部(肛門と陰嚢の間)の鈍い痛み、頻尿、残尿感などが挙げられます。ストレスや長時間の座位(デスクワークや自転車の運転など)が症状を悪化させることがあり、生活習慣の見直しが重要となります。
前立腺炎の治療には、抗生物質のほかに、生薬やα遮断薬(尿の流れを良くする薬)やPDE5阻害剤(血流改善)、鎮痛剤(ロキソニンなどのNSAIDS以外にもプレガバリンやミロガバリンなどの神経障害性疼痛緩和薬)が使用されます。時に過度なストレスが原因の場合には抗不安薬が著効する事もあります。また、定期的な軽い運動や座りすぎを避けることが症状の緩和につながります。細菌以外にもサイトカインやプロスタグランディンの様な発痛物質を排除するために定期的な射精(週1-2回)も励行としています。
正座と一緒で、長時間の会陰部の圧迫は血流障害を引き起こします。正座で足がしびれた場合、足を崩して血流が再開すると楽になるように、長時間の座位を避けて、20-30分に1回は除圧目的で腰を上げる、またはGELクッションなどを椅子に敷いて圧力を分散するなどの工夫も大事です。
■尿路結石と排尿時痛
尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱、尿道などに結石が存在する事で、排尿時の痛みや血尿を引き起こします。特に尿管結石は非常に強い痛みを伴うことで知られ、激しい側腹部痛や吐き気を引き起こすことがあります。
尿路結石ができる主な原因は、水分摂取の不足、食生活の偏り(カルシウムや尿酸の過剰摂取)、遺伝的要因、代謝異常などです。結石の大小に関わらず尿管に嵌頓(はまり込んで)、尿をの通過障害をきたすと腎盂内圧が上昇し、背部痛の原因となります。結石が下降して下部尿管(膀胱近傍)まで下降すると膀胱刺激症状を引き起こし、排尿時の強い痛みの原因となります。
診断には、尿路エコーやKUB(腹部臥位X線)、CTスキャンが用いられ、結石の位置や大きさを確認します。治療方法としては、水分を多く摂取して自然排出を促す方法(結石のサイズ5-10mm未満)や、10mm以上またはなかなか結石が下降して来ず、水腎症が増悪し、腎機能が危ぶまれる場合には、上部尿路(腎臓から仙腸関節まで)の結石には衝撃波を用いた体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、仙腸関節から膀胱尿管移行部までの下部尿路の結石にはTUL(経尿道的尿管結石破砕術)が選択されることがあります。
予防には、こまめな水分補給が最も重要とされており、一日1-2リットル以上の水を飲むことが推奨されています。(水分摂取量は体格や気候、湿度、気温にもよります。あくまで目安です)また、シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、ナッツ類)や塩分、高カロリー高脂肪食の過剰摂取を控えることも結石形成の予防につながります。尿路結石は食生活に起因していますので、一種の生活習慣病とも言えます。
■性感染症(STI)と排尿時痛
性感染症(STI)は、性交渉を通じて感染し、排尿時痛を引き起こすことが多い疾患の一つです。代表的な性感染症には、クラミジア感染症、淋病、トリコモナス症、ヘルペスなどがあります。
クラミジア感染症は、日本で最も多い性感染症の一つであり、特に若年層に多く見られます。感染しても症状が軽いため、自覚しないままパートナーに感染を広げてしまうことがあります。排尿時の痛みや軽い尿道のむず痒さが初期症状として現れることが多く、放置すると精巣上体炎や不妊症の原因となるため、早期の治療が必要です。
淋病は、クラミジア感染症よりも症状が強く、排尿時の激しい痛みや膿のような分泌物が特徴的です。特に男性では、尿道の強い痛みを伴い、日常生活に支障をきたすこともあります。抗生物質による治療が必要ですが、耐性菌の増加により治療が難しくなっているため、早期の診断と適切な薬の使用が重要です。
また、最近多くなっているのがマイコプラズマやウレアプラズマ感染症です。クラミジア同様症状が軽く、自覚症状に乏しいのが特徴です。症状はないけれど、性風俗店に行ってきたので調べたい、ブライダルチェックで念のために調べたいなどの理由で無症状で精査した結果発覚するケースが多い印象です。淋菌やクラミジアは陰性でも、マイコプラズマやウレアプラズマが陽性であったというケースも最近の動向として見受けられます。
トリコモナス症やヘルペスも、排尿時痛を引き起こすことがあり、特にヘルペスは皮膚や粘膜に水疱を伴うことが特徴です。性交時の違和感や痛みがある場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが推奨されます。
性感染症の予防には、コンドームの使用が最も効果的と言われておりますが、過度に期待しない方が無難です。前述した通り、前戯のオーラルセックスの時点ですでに感染は成立しているので、注意が必要です。また、複数のパートナーと関係を持つ場合は、定期的な性感染症検査を受けることで、早期発見・早期治療につながります。
排尿時の痛みは当院へ
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横浜市港北区綱島
すがわら泌尿器科・内科
院長:菅原 草