小児の真性包茎は珍しくなく、大半は仮性包茎よりも多く存在します。その中でも今回、包皮輪が瘢痕狭窄から完全閉塞をきたし、尿閉にまで至った一例を経験したので報告します。 小児の真性包茎は珍しくなく、大半は仮性包茎よりも多く存在します。その中でも今回、包皮輪が瘢痕狭窄から完全閉塞をきたし、尿閉にまで至った一例を経験したので報告します。

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小児真性包茎瘢痕狭窄から尿閉に至った一例

小学校高学年のお子さんですが、4か月前より排尿時痛が出現。近医泌尿器科受診し、真性包茎(pin hole状態)と診断されて抗生剤の軟膏を処方されて塗布するも改善せず。その後、排尿の度にギャンギャン泣き叫ぶほどになり近医小児科受診してステロイド軟膏を塗布するも効果無く、助けて欲しいと区をまたいで遠方から藁をもすがる思いで当院に来院されました。初診時の陰茎の状態は、真性包茎の包皮輪がpin holeというよりは、ほぼ完全に閉塞している状態でした。


真性包茎の包皮輪が瘢痕狭窄から完全閉塞に至った状態

腹部を診察してみると、下腹部が膨満しており、もしやと思いエコーを当ててみると・・・、膀胱内は尿で一杯となっており、緊満状態。いわゆる尿閉の状態をきたしておりました。両側腎は幸いまだ、水腎症の状態には達していませんでしたが、放っておいたら腎後性腎不全に陥ってしまいます。すぐさま導尿してあげないといけない状況です。局所麻酔下に背面切開をして、亀頭を露出して外尿道口からネラトンカテーテルを留置して導尿するのですが、小学生に局所麻酔で背面切開は過去に一例のみ嵌頓包茎の子に施行した経験がありますが、基本痛みや抑制に耐えられないので全身麻酔の方が絶対に安全です。しかも、外来の進行を止めて20-30分はかかります。(またクレームが殺到してしまいます、、、)
ご両親にその旨をお伝えしたんですが、どうかここでお願いします、なんとか言って聞かせますから、、と、、、。いやー、そうは言われても・・・と困り果てたのですが、時刻は夕方17時を回っており、紹介先の病院をこれから探しても受け入れ先がそう簡単には見つかりにくいだろうし、遠方からわざわざ来られて、ここからまたさらに移動となると患者さん、ご家族共にしんどいかあ、、、と結局家族の懇願に押されて当院で局麻下に背面切開術を行う事となりました。


膀胱エコー像:膀胱内に尿がたくさんたまっている状態。いわゆる尿閉状態

局所麻酔を包皮に注入し、眼科用尖刀で切開を開始。亀頭が見えた所で包皮を反転し外尿道口を見つけ,10Frサフィードネラトンを挿入し、導尿施行。300mlの排尿を認めました。かなり苦しかったことと思います。バイポーラ電気メスににて止血後、5-0バイクリルにて縫合し、なんとか無事手術を終える事ができました。痛みの訴えはなかったですが、開始早々5分くらいでまだー??まだ終わらないのー??と結構プレッシャーをかけられましたね、、、。


切開部分からの出血部位を止血しているところ。


切開部分を縫合し、サフィードネラトンで導尿しているところ。

いやー、真性包茎の瘢痕狭窄やpin hole状態は結構遭遇するんですが、包皮輪が完全閉塞に至って尿閉まで来した例は過去に無かったもので、貴重な経験をさせて頂きました。でも、お子さんの局所麻酔下での手術は、、、、できればもう遭遇したくありません、、、、。