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ED治療薬のOTC化(市販化)とは?|シアリス(タダラフィル)が処方箋なしで買えるようになる

2026.7.02

【最新情報】2026年5月20日、エスエス製薬がシアリス(タダラフィル)について厚生労働省からOTC医薬品としての製造販売承認を取得しました。国内初のED治療薬市販化が正式に確定し、2026年秋以降の発売が見込まれています。

 

「ED治療薬が薬局で買えるようになる」というニュースを耳にして、「自分にも使えるのか」「クリニックに行かなくてよくなるのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。出来る限りそのあたりの疑問にお答えします。


■ED治療薬のOTC化とは?「スイッチOTC」を正しく理解する

①OTC医薬品とは

OTC(Over The Counter)医薬品とは、医師の処方箋なしに薬局やドラッグストアのカウンター越しに購入できる市販薬のことです。風邪薬・胃腸薬・目薬などが代表例です。

 

②「スイッチOTC」という区分

今回シアリスが該当するのは、医療用医薬品として使われていた成分を市販向けに転用した「スイッチOTC医薬品」です。さらに細かい区分として、購入時には薬剤師による対面での情報提供・指導が法律で義務付けられる「要指導医薬品」に分類されます。

 

つまり、レジで気軽に購入できる一般薬とは異なり、薬剤師との対話が必須です。

 

③要指導医薬品の購入フロー

シアリスを取り扱っている薬局へ来店

 ↓

WEBチェックシートに入力(エスエス製薬提供)

 ↓

チェックシートを薬剤師に提示し、指導を受ける

 ↓

購入(4錠入り1箱が上限)

 

 

■いつから買える?OTC化の経緯と現在の状況

①経緯を時系列で整理

2025年5月:厚生労働省の検討会議でシアリス錠10mg(タダラフィル)のスイッチOTC化について議論開始

2025年9月18日:厚生労働省の専門部会で市販化が了承

2026年5月20日:エスエス製薬が厚生労働省からOTC医薬品としての製造販売承認を取得。国内初の市販ED治療薬となることが確定

 

②実際の発売時期は?

発売時期は2026年8月頃とされていますが、正式な発売日・販売方法の詳細はエスエス製薬より改めて案内される予定です。

現時点(2026年6月)では、まだ店頭での販売は始まっていません。

 

③改正薬機法によるオンライン販売の可能性

改正医薬品医療機器等法(薬機法)の施行により、2026年5月以降は要指導医薬品についても薬剤師がオンライン上で情報提供(オンライン服薬指導)を行った上でのインターネット販売が可能になる見込みです。将来的には薬局に足を運ばずに購入できるルートも開かれるかもしれません。

 

 

 

■なぜOTC化が承認されたのか?3つの背景

背景①:受診へのハードルが高い

EDで悩む男性は実に30代以上の3人に1人とも言われますが、「クリニックに行くのが恥ずかしい」と感じ、適切な治療を受けていない方が非常に多いのが現状です。

 

背景②:偽造薬・個人輸入による健康被害の撲滅

ネット通販などで安価に売られている海外版シアリスには、不純物が混入していたり、成分が全く入っていなかったりする「偽造薬」が蔓延しており、国内の正規ルートで手軽に買える環境を整える狙いがあると言われています。

 

背景③:海外では既に市販薬として普及

2023年度末の内閣府の会議で、海外2カ国以上で市販化されている医薬品について、2026年末までに日本でも市販化を目指すことを目標として掲げました。欧米ではすでに市販薬として流通しており、日本の規制環境が後追いする形となっています。

 

 

■シアリス(タダラフィル)とはどんな薬か

①基本情報

シアリスの一般名はタダラフィルです。「バイアグラ」(一般名:シルデナフィル)、「レビトラ」(一般名:バルデナフィル)に続く第3のED治療薬として、2003年に登場しました。

 

②作用機序

タダラフィルはPDE5(ホスホジエステラーゼ5型)阻害薬です。性的刺激があると陰茎海綿体で一酸化窒素(NO)が放出され、cGMPが増加して血管が拡張・勃起が起こります。PDE5阻害薬はこのcGMPを分解する酵素を阻害することで、勃起を維持・増強します。

 

③バイアグラとの違い:最大の特徴は「効果持続時間」

タダラフィルは「週末の薬(Weekend Pill)」とも呼ばれ、服用タイミングの柔軟性が高い点が大きな特徴です。また、前立腺肥大症(BPH)に伴う排尿障害に対しても保険適用があります。

 

 

■【重要】市販シアリスの禁忌・服用できない人

OTC化で「誰でも気軽に買える」という印象を持つ方もいますが、シアリスには絶対に服用してはいけない人が存在します。泌尿器科専門医として、この点は特に強調しておきたいと思います。

 

①絶対禁忌(服用できない薬との組み合わせ)

以下の薬を使用中の方は、タダラフィルと組み合わせると過度の血圧低下を引き起こす危険があるため、絶対に服用できません。

 

・硝酸剤または一酸化窒素(NO)供与剤:ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド(ニトロール・フランドール等)、ニコランジル(シグマート等)

・可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤:リオシグアト(アデムパス等)

 

狭心症や心不全でこれらの薬を服用中の方が誤ってシアリスを服用すると、生命に関わる急激な血圧低下を引き起こす可能性があります。

 

②禁忌となる既往歴・状態

・心血管系障害を有するなど性行為が不適当と考えられる方

・不安定狭心症がある、または性交中に狭心症を発現したことがある方

・コントロール不良の不整脈、低血圧(90/50mmHg未満)またはコントロール不良の高血圧(170/100mmHgを超える)の方

・心筋梗塞の既往歴が最近3か月以内にある方

・脳梗塞の既往歴が最近6か月以内にある方

 

③注意が必要な主な副作用

主な副作用として、ほてり、頭痛、鼻づまり、動悸、消化不良などが報告されています。通常は軽度かつ一過性ですが、症状が続く場合は服用を中止し医師に相談してください。

 

 

■市販薬で大丈夫なケースと、泌尿器科受診が必要なケース

これが今回最も伝えたいポイントです。OTC化によって「クリニックに行かなくていい時代になった」と誤解する方が増えることを懸念しています。

 

①市販薬(OTC)が選択肢になりうるケース

・健康診断で異常なく、内服薬を一切服用していない

・30〜50代で生活習慣病の既往がない

・ストレスや疲労による一時的なEDが疑われる

・以前クリニックでED治療を受けたことがあり、タダラフィルが自分に合っていることを確認済み

 

②必ず泌尿器科を受診すべきケース

【1】禁忌薬(硝酸剤など)を服用中の方

前述の通り、ニトログリセリン等との併用は生命に関わります。「薬の名前がよくわからない」という方も、必ず処方元の医師に確認してください。

 

【2】高血圧・糖尿病・脂質異常症がある方

これらの生活習慣病はEDの重大な原因因子であると同時に、ED治療薬の使用にも慎重な評価が必要です。また、EDは動脈硬化のサインである可能性があり、心血管疾患の早期発見につながることがあります。

 

【3】EDが突然始まった、または急速に悪化している方

器質性EDの可能性があります。背景に前立腺がん・前立腺肥大症・神経疾患・ホルモン異常などが隠れているケースがあり、薬を飲む前に原因の精査が必要です。

 

【4】OTC薬を試したが効果がなかった方

服用方法が正しくない可能性(食後の服用による吸収遅延など)もありますが、より高用量や別の薬剤(シルデナフィル・バルデナフィル)が適している場合もあります。専門医による適切な処方が有効です。

 

【5】20〜30代の若い方でEDが気になる方

心因性EDの可能性が高く、薬だけでなく心理的アプローチを含む治療が効果的な場合があります。

 

■泌尿器科クリニックで受けるED治療のメリット

①原因を特定した上での治療

正確にはEDは「症状」であり、「病気」ではありません。その背景には糖尿病、高血圧、テストステロン低下、前立腺疾患、うつ病、薬剤性など多様な原因があります。泌尿器科では血液検査・問診を通じて原因を特定し、根本からアプローチします。

 

②処方薬はOTC薬よりも用量の選択肢が広い

市販シアリスは10mg・1箱4錠が基本単位となる見込みですが、医療機関では5mg(毎日内服タイプ・前立腺肥大症合併時)から20mgまで、患者さんの状態に応じた用量を選択できます。

 

③プライバシーへの配慮

「薬局でED治療薬を購入する姿を知り合いに見られたくない」という方も少なくありません。当院では完全個室での診察に加え、オンライン診療にも対応しており、自宅への郵送処方も可能です。(現在は休止中です。今後ニーズの在り方次第で再開を検討中です。)

 

④医療費(自費)の明確な案内

ED治療は保険適用外(自由診療)となりますが、当院では初診から料金を明示しています。市販薬との価格差が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

 

■よくある質問(FAQ)

  1. OTC化されたら、処方箋なしでネットでも買えますか?
  2. 購入の際は薬剤師による説明(対面またはオンライン)が必要です。使用できるのは18歳以上の成人男性に限定されており、1箱4錠での販売となります。単純にネット通販で誰でも購入できるわけではなく、薬剤師との確認プロセスが必須です。

 

  1. バイアグラやレビトラもOTC化されますか?
  2. 現時点では、今回の承認対象はシアリス(タダラフィル)のみです。バイアグラ(シルデナフィル)やレビトラ(バルデナフィル)については、現時点でOTC化の正式な手続きは進んでいません。

 

  1. 市販薬のシアリスは保険が使えますか?
  2. OTC医薬品は保険適用外です。なお、クリニックで処方されるED治療薬も基本的には自由診療(保険適用外)です。ただし、前立腺肥大症の治療としてタダラフィルを使用する場合は保険適用となることがあります。

 

  1. 毎日飲む「低用量タダラフィル」は市販になりますか?
  2. 今回のOTC承認はED治療の一般的な用法(性行為の前に服用)を想定したものです。毎日内服する5mgの「慢性投与法」や前立腺肥大症向けの処方については、引き続き医師の処方が必要です。

 

  1. ED治療薬を初めて使う場合、いきなり市販薬でいいですか?
  2. 初めて服用する方こそ、まず一度は泌尿器科を受診されることをお勧めします。禁忌の確認・最適な用量の選択・副作用発現時の対処法など、医師から直接説明を受けることで安心して使用できます。

 

 

■まとめ

OTC化はED治療の「入口拡大」。正しい知識で安全に活用をしましょう。ED治療薬「シアリス」が、エスエス製薬から国内初の市販ED治療薬として承認取得(2026年5月)を経て、いよいよ市販化が現実のものとなりました。

 

これはED治療へのアクセスが広がるという意味で、非常に意義深い出来事です。一方で、要指導医薬品である以上、購入時の薬剤師指導は省略できず、禁忌に該当する方が自己判断で服用することは極めて危険です。

 

当院としては、次のようにお伝えしたいと思います。

 

・「まずは市販薬で試してみよう」という選択は、健康状態を確認した上では合理的な場合もある

・しかし、EDは重大な疾患のサインである可能性があり、原因の精査なく薬でごまかし続けることはリスクを伴う

・とくに持病がある方・複数の薬を服用中の方・EDが急速に進行している方は、必ず医師に相談を

 

当院では、ED治療に関するご相談を随時承っています。まずはお気軽に診察のご予約をお待ちしております。

 

 

情報出典

・厚生労働省 薬事審議会要指導・一般用医薬品部会(2025年9月18日)

・エスエス製薬 製造販売承認取得に関するプレスリリース(2026年5月20日)

・シアリス錠 添付文書(日本新薬株式会社)

・内閣府「スイッチOTCの選択肢拡大について」