尿道結石、尿路結石 尿道結石、尿路結石

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今年も尿道結石が!!

昨年の今頃にも、尿道結石のご紹介をしたんですが、やはり気温が上昇してきた今年もまた排尿困難を主訴に来院されてきた患者さんの対応をしましたので、ご紹介します。数日前から左背部痛を自覚しており、前日ぐらいからおしっこの勢いが悪くなったとのことで来院された30歳台の男性。尿路エコー上では左腎は水腎症等異常なし、右腎も異常なし、膀胱内には占拠性病変はないものの、膀胱頸部に結石らしき高照度エコー領域を認めており、内尿道口付近に結石が存在しているものと考えられました。


●この結石の存在が栓(プラグ)となって、排尿時の妨げになっています)


●KUB(腹部臥位x-p)上でも同様の位置に結石陰影を認めました。

尿流量測定上排尿量128.9ml、peak flow6.9ml/sec、残尿測定69mlと尿勢はかなり弱いものの、尿閉ではなかったため、自然排石を期待し、前立腺部尿道を拡げる内服薬(α-1遮断薬)と前立腺のむくみをとる生薬と抗生剤を処方し経過をみました。しかし、約1か月経過しても排石の自覚は無く、また排尿のしずらさも以前より増して来たとの事で来院されたため、尿道内に嵌頓しているものと判断し、尿道鏡を挿入してみました。すると??

●尿道内に嵌頓している尿道結石

昨年同様、尿道括約筋と精丘との間に結石を認めており、軟性鏡で膀胱内にプッシュしようとしてもがっちり嵌頓していて微動だにせず。そこで今回は秘密兵器であるバスケット鉗子(昨年は無かったので、砕いておしまい。後日自然排石できて事なきを得た)を用いて結石をしっかり包み込んで把持しようとするも尿道内の狭い間隙ではうまく引き出すことはできず、昨年にも試みた把持鉗子でガリガリと結石粉砕を行い、少し小さくなったところで何とか膀胱内に結石を押し込みました。


●膀胱内に押し込んだ結石をバスケット鉗子で把持しているところ

そこで再度バスケット鉗子を投入し、UFOキャッチャーのごとくしっかりと結石を把持して、今回は確実に体外に取り出すことができました。長径約1cm大の比較的大きな結石でした。結石分析の結果はシュウ酸Ca98%以上と結石成分の中ではもっとも一般的なものでした。

●体外に取り出した結石:約1cm大

医療経済的に今回の経尿道的膀胱結石摘除術を紐解いていくと・・・。

今回外来で行った経尿道的膀胱結石摘除術の医療費は?
⇒保険点数8320点ほかプラスアルファで再診料73点+外来管理加算52点。
もし、当院で対応せずに病院への紹介となると、入院しての結石破砕手術になります。腰椎麻酔下に30分で施行した場合、手術前日入院、術後翌日退院した場合の2泊3日であるとすると、腰椎麻酔30分まで850点、静脈麻酔だと120点、経尿道的尿路結石摘除術(レーザーでの破砕)22700点、1泊入院の平均費用約2万3000円(2300点)、食事代抜きで見てみると、今回の当院での外来で結石摘除を済ませたことが、いかに経済的であったかお解りかと存じます。患者さんのお財布(自己負担は3割)にも、そして、国の医療費削減にも大きく貢献できたものと自負しております。

当院は2022年7月1日から時間帯予約制となり、患者さんの待ち時間、クリニック滞在時間を可能な限り短縮できるよう最大限の努力を行っております。待ち時間を短縮することはもちろん重要事項ではありますが、それ以上に大切なことは、他のサービス業とは異なり、医療機関であるため、緊急性のある患者さんがいらっしゃった場合には、優先的に診てあげて苦痛を取り除いてあげることです。当院受診の患者さんの中に、予約時間通りにいかない点に関して厳しいご指摘をされる方がごく少数いらっしゃいますが、今回の様に尿が出ずらく、いずれ尿閉になって苦しんでしまうことが予想される患者さんを優先して診療した結果、処置に時間がかかり、予約していても時間通りにいかない場合も医療の現場では往々にしてあることをご理解いただけますとありがたいです。(明日は我が身です!)